いわき市天然記念物(地質)指定について (平成28年5月2日指定)
1.井戸沢断層の範囲と文化財指定地
断層の範囲:田人町旅人から田人町石住までの延長約14Km
指定地範囲:田人町黒田字塩ノ平地内(4基、40.092㎡)
2.経過・特長等
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の1ヶ月後の4月11日に発生した地震で出現した井戸沢断層(塩ノ平断層)は、
海溝型超巨大地震に誘発されて内陸活断層が活動して出現した日本初の正断層型の地震断層。断層面の傾斜角は約80度。
西側が落ち込んだように見える正断層で、指定地は、断層の全長の中でも最も明瞭に断層崖が残る箇所であり、最大で高さ2.1m
ほどのズレが観察できる。
- 平成23年4月11日17時16分発生の地震(震央は田人町旅人字川向付近)は、東北地方太平洋沖地震の直後に、活断層に沿って発生した最大の内陸地震であり、海溝で発生する巨大地震によって誘発されたものと考えられる。海溝型地震で内陸活断層が活動し地震断層が出現したのは、日本で初めてであれ。
- 断層は、以前から知られていた「井戸沢断層」と考えられたが、井戸沢断層の西側に沿って出現した新たな地表地震断層で、東大地震研では、井戸沢断層とはメカニズムも異なることから、地区名にちなみ「塩ノ平断層」という名を提唱している。
- 日本にある断層は、日本がプレートが沈み込む圧縮場であることから「逆断層」や「横ずれ断層」がほとんどである。
- 京都大学によるトレンチ掘削調査により、前回の断層活動(地震)の発生時期が約12500年~17000年前であったことが明らかとなった。
3.市指定に値する理由
東北地方太平洋沖地震後の最大の内陸地震で発生した断層であり、海溝型地震によって内陸活断層が活動して出現した日本初の正断層型の
地震断層として、学術的にも大変貴重なものである。
また、復旧も進み、いまなお明瞭に断層崖が残る箇所は少なく、学校教育等における生きた地学教材としても貴重である。
地域振興協議会(田人支所・担当:下山田誠)資料より